学校長から of 兵庫県立山の学校


平成29年12月15日
公平な自然 -四季の移ろいに包まれ-

 自然は、誰をも公平に認めます。
 空は、いまの誰の上にも等しくあり、都会のビルや山の木の間からでも空は見えます。空には雲も流れています。想像をかきたてる形をした雲、急激な雷雨をもたらす真っ黒な雲があります。ぽかぽかと温かい陽射し、じりじりと焦がすような陽射し、ときには、空を真っ赤に染める夕焼けも見られます。
 誰かの上には空がない、「おまえには陽をあてない」ということはありません。風も人を選ぶことなく吹き、雨も人を選ぶわけでもありません。
そんな公平な自然をフィールドにしているのが、山の学校です。
また、四季の移ろいがあります。
 秋は季節の始まりです。冬が近づき、植物が眠りにつこうという晩秋、自然は詫びた世界へとなります。紅葉は次の年をまた生き生きと過ごすため、樹々が力を蓄えている姿です。寒い冬を越し、やがて迎える春の息吹に向け、その新しい生命の誕生のために備えている時期です。
 冬は命を育みます。 冬の冷え込みは、厳しいものとなります。凜とした冷たい空、澄み切った水、肌をさす空気が、心地よい緊張感を与えてくれます。一方で、足下の小さな生命に目をやると、そこには春を待って大切な芽をじっと温め、来年の芽を守って生きているぬくもりのある姿に出会えることもあります。
 四季の移ろいとは、たとえ目に見えなくても確かにそこに息づき、次世代へと必死に命を繋いでいる植物や動物の営みのことです。
 生徒やスタッフなど誰をも公平に認める自然の中、四季の移ろいに包まれ、君たち25期生は、枝打ち、伐倒、遊歩道の整備などの様々な経験を積み重ねてきました。
 修了までの期間、厳しくて優しいまなざしのスタッフと共に、君たちがもっと素敵になって、自立していくことを期待しています。


平成29年7月30日
四季の移ろい

 君たち25期生は、豊かな自然のキャンパスで寮での共同生活と体験活動を積み重ねながら、たくましく生き抜く力を培っていく「県立山の学校」に自ら決め、入学しました。
 春―芽生え
 じっくりと生命を蓄えた世界は、少しずつ氷を溶かし、雪の下から地面をのぞかせ、じわじわと春の訪れを告げ始めます。そして、待ち望んだ春の陽射しを目いっぱいに受けようと、あちらこちらで芽生えを迎えます。
 夏―生命の力
 梅雨の雨、照りつける太陽、恵みの季節の到来です。強さの中にも柔らかさが見ることのできる、自然のもつさまざまな顔を感じられる季節です。雨をいっぱいもらった木々の葉に力が宿り、そして太陽の恵みを受け、蓮もようやく水面に顔を出します。水の恵みを存分に受け、これから夏に向けてどんどん充実していく姿が目に浮かんでくるようです。
 また、生命を支える太陽の光も、四季に応じてさまざまな表情を見せます。実りの季節を迎え、稲穂をきらきらと金色に輝かせる、秋の収穫の光。寒さにじっと耐えている植物たちに「元気をだせよ、もうじき暖かくなるよ」と声を掛けている、冬の暖かな光。野に花を咲かせる、柔らかな春の光。若葉を出し、光合成を行い、元気に育つ、強い太陽の光にも負けない葉っぱをつくる、夏の光。そしてもう一度、実りをもたらす秋の光。植物たちは、次の年への準備が終えたことを太陽に感謝しながら、秋の陽射しの中で、最後の色を放って散っていきます。それが一年のサイクルです。
 四季の移ろいとは、たとえ目に見えなくても確かにそこに息づき、次世代へと必死に命を繋いでいる植物や自然の営みです。私たちは、今まさに目の前で起こっている、その営みを感じ取ることが非常に大切です。
 入学してから君たちは、これまでできなかったことがいくつもできるようになり、格好良くなってきています。修了の日を迎えるまでの8ヶ月、豊かな自然の中で、四季の移ろいに包まれ、優しいまなざしのスタッフに厳しく鍛えられ、君たちがもっと素敵になることを期待しています。


体育館_R.jpg

平成29年4月1日
Be Forest
-豊かな自然の中で、新しい自分、発見-

 ときに厳しく、また、ときに優しい自然は、人間としての生きる基本を教える「生きた教科書」です。
 兵庫県立山の学校は、平成5年1月、「しそう森林王国」の宍粟市山崎町五十波(いかば)に設立され、県内在住の15~20 歳までの男子が学ぶ、修学期間1年、全寮制の教育施設です。
 豊かな自然の中で、寮での規則正しい共同生活と森林実習を柱にした多様な体験学習を通して、たくましく生きる力を培い、こころ豊かな青少年を健全育成することを目的としています。
 7時起床、朝日を浴びて体操、ランニングをすることから一日は始まり、基本的な生活習慣を身につけていきます。授業は、林業に関する実習や、氷ノ山登山、パラグライダーやゴルフなどのスポーツ、畑作業、木工、陶芸など多彩です。また、小型車輌系建設機械を初めてとした資格取得講座の実施、地元企業に協力による職場体験の実施など社会的自立に向けた生徒の特性に応じたキャリア形成を支援しています。
 さらに、高校の卒業資格を希望する生徒に対しては、県立の通信制高校(網干高等学校・青雲高等学校)や広域通信制高校(クラーク記念国際高等学校)との連携により、本校での教育活動を高校卒業資格単位として認定する支援も実施しています。

 さあ、チャレンジ精神で、まずは、一歩を踏み出してください。
 Be Forest 豊かな自然の中で、新しい自分を発見してください。
 一年後、どのような姿を見せてくれるのか、楽しみにしています。

兵庫県立山の学校
校長  臼井 研二



平成29年3月10日
修了生へのメッセージ

 自分で決めて選んだことを、ただひたすら、ただ一心に、脇目もふらずに取り組むことが出来きた期間。それがどれほど貴重なものであるか、疾風のまっただ中にいるときは気がつかない。まさに、山の学校で過ごした時間が、かけがえのない人生の宝となるはずです。
 友だちとの寮生活、豊かな自然の中での活動、スタッフとの出会い、なにより、「木の偉さ」を体感して、レジリエンス(困難な状況にも関わらず、しなやかに適応して生き抜く力)が、君たちの中に育ち初めていることでしょう。
 最後に、「谷川俊太郎・川崎洋編訳『木はえらい イギリス子ども詩集』(岩波少年文庫)」より、「木はえらい」の詩を贈ります。
kocho.jpg

 山の学校で見つけたそれぞれの宝物を持って、これからの人生をしなやかに送ってください。



平成28年12月17日
木はえらい

 最近、二十年ほど前に出版された谷川俊太郎・川崎洋編訳『木はえらい イギリス子ども詩集』(岩波少年文庫)を手にした。
 そのなかの詩を紹介する。

kocho.jpg

 現代の教育において、「木のえらさ」があまりにも忘れられているのではないか。多忙に休まることのない現代人は、ときに木のえらさに想いを寄せることが必要だろう。
 木がたくさんの人に暖かさを与えていると同様に、生徒の皆さんも暖かさをまわりのみんなに分けている。例えば、植林や間伐で森林を守ったり、大切に育てたスギをベンチに、ケヤキを花台に変え、みんなに暖かさを与える物にしている。
 修了の日まで3ヶ月、五十波の里での共同生活と体験活動を通して、「木のえらさ」を体感し、どんなことがあっても木のように受け入れて、人としてもっと暖かくなって欲しい。


平成28年7月30日
ときに厳しく、また、ときに優しい

 ときに厳しく、また、ときに優しい自然は、人間としての基本を教える「生きた教科書」といえます。
 その豊かな自然のキャンパスで体験活動を積み重ねながら、たくましく生き抜く力を培っていく、全国的にもユニークな「県立山の学校」が、24期生を迎え入れました。
 みなさんが入学して、早いもので1学期を終え、夏休みを迎える時期になりました。入学当初の気持ちは、今も持ち続けているでしょうか。入学式の式辞で「希望を持つには、①明日はもっといい日にしたいおもい ②そのために具体的に何をするか決め ③その実現の為に情報を集め考え ④それを行動にする 4つの要素が必要です。1つでも欠けると希望は持ちづらく、希望は一人では実現できません。人付き合いを大切にし、周りの人のアドバイスを聞き入れて、「明日はもっといい日にしたい」と思い行動してください。」と述べました。
 入学当初の新鮮な気持ちで、寝食を共にする寮生活を送り、豊かな自然での多彩なプログラムを体験できていますか。環境整備や森林実習、チェンソー等の資格取得、宍粟市内での職場体験、千種川沿い縦走、海辺の体験、陶芸やオカリナ演奏など、積み重ねた体験活動がみなさんの人格形成の糧になっています。
 修了の日を迎えるまでの8ヶ月、人間としての基本を教える「生きた教科書」で、ときに厳しく、また、ときに優しいスタッフに鍛えられ、学校の枠を超えた学びをしていきましょう。